皆さんこんにちは。
教育グループ発信のコラム、『DX 寺子屋』、第10回です。
前回第9回ではCADについてお話しましたが
第9回 そもそも CADとは
世の中には様々な3DCADソフトがありますよね。
3DCAD①3DCAD②があったとします。
3DCAD①のデータは、もう一方の3DCAD②でも使用できるでしょうか。
A、 できる
B、 できない
はい。考えていただけたでしょうか。
答えは
『A,Bどちらともいえない』
です。
何とも意地の悪い解答で申し訳ありません。
Bと思った方が多いでしょうか?
なぜ、どちらともいえないかご説明します。
確かに、通常は使用できないのですが
扱い方次第では、他の3DCADで作成したデータを使用することができるからです。
いくつか方法はありますが、今回はその中のひとつ、中間ファイルについてお話していきます。
中間ファイルは、それぞれのCAD独自のファイル形式ではなく、互換性がありますので、
異なるCADとのやり取りを行うことができます。
【3DCADのカーネルとCADのファイル形式】
中間ファイルの話に入る前に、3DCADのカーネルとCADのファイル形式について少し触れましょう。
まず、カーネルというのは3DCADソフトの核となるものです。
パソコンで言うとOSに当たり、3Dモデルの形状表現や形状作成のコマンド、演算などのベースになっています。
カーネルには大きく分かれて2種類、市販されているものとCADベンダーが自社で内製しているものがあります。
どんな違いがあるのでしょうか。
市販品は既に出来上がっているので、開発にかかる手間を省けるというメリットがありますが、独自性を持たせることは難しいです。
一方、自社で内製しているものは、希望通りに細かく作りこむことができます。
ただし、一からの開発なので、費用や時間は相応にかかります。
高価なハイエンドCADには、自社製のカーネルを使用しているものが多いです。
そんなカーネルによって、CADデータのファイル形式も決まります。
カーネルが違うので、ファイル形式が違うわけです。
基本的にはCADごとにファイル形式が異なりますので、相当数のファイル形式が存在します。
ファイル形式は、拡張子から見ることができます。
拡張子とはファイルの種類を識別するためのもので、ファイル名の『.』後についている文字のことです。
写真だとjpgやpng、文章ファイルのWordだとdoc、音楽だとmp3、動画だとmp4などがあります。
先ほどもありましたが、CADのファイル形式は、CADごとに異なります。
そして、使用しているCADのものと異なるファイル形式のデータは使用することができません。
同じCAD同士でやり取りする場合には問題ありませんが、
例えば、いくつも取引先があり、それぞれ使用CADが違う場合などは困ってしまいますね。
そのCAD間の互換性の問題を解決する為に生まれたのが、中間ファイルです。
【中間ファイル】
中間ファイルの使用方法は
CAD①のファイル形式から一旦中間ファイルに変換しCAD②のファイル形式に変換する、という感じです。
3DCADの中間ファイルにはIGES(iges、igs)、STEP(step、stp)、Parasolid(x_t、x_b)、SAT(sat)、dxf(dxf)、などがあります。(カッコ内は拡張子)
よく聞くのは、Iges、step、Parasolidあたりでしょうか。
Igesは、ANSI(米国国家規格協会)が策定したファイル交換の規格で
自動車業界を中心に使われていました。
STEPはIGESよりも歴史が新しいもので、ISO(国際標準化機構)が策定したファイル交換の規格です。
様々な業界で多く使われています。
Parasolidは、アメリカの企業が開発した市販されているカーネルで、それを使用したファイル形式を指します。
中間ファイルを使用するうえで重要なのが変換精度です。
精度が低いと、変換後にモデル修正を行う必要があるので、手間と時間を要してしまいます。
IGESは、他に比べて変換精度があまり高くありません。
ソリッドの変換があまり得意でなく、複雑なモデルだと正確に変換できないことが多くあります。
一方、STEPは変換精度が高めです。
ソリッドの変換の成功率はIGESより高く、そのためモデルの修正の手間も少なく済みます。
実際に業務でデータのやり取りをしていた際、IGESだと失敗したけどSTEPなら変換できた、ということが数多くありました。
また、STEPと同様に変換精度が高いのがParasolidです。
ソリッド形状を変換したいのなら、STEPかParasolidを使用すると良いのではないでしょうか。
以前は中間ファイルといえばIgesが主流でしたが、現在はSTEPが多く普及しています。
その理由は、STEPがISOの規格ということもありますが、変換精度の問題も大きいでしょう。
【その他のファイル変換方法】
異なるファイル形式のCADデータをやり取りする方法ということで、中間ファイルについてお話してきました。
今回は中間ファイルでしたが、他にも方法はあります。
一例として、ダイレクトトランスレータ、というシステムがあります。
中間ファイルを介さずともCAD①のファイル形式からCAD②のファイル形式に変換することができるシステムです。
それぞれのCADの特性を踏まえて変換を行うので、より変換精度が上がっているという反面、金額は相応に高いです。
更に、CAD一種類ごとに料金が発生するものも多いので、様々な種類そろえるとなると
かなり高額になってしまうのが悩ましいところです。
当分は、中間ファイルでの運用が主流となるでしょうか。
中間ファイルの変換精度は、変換する際の設定次第でも上げることができます。
それぞれのCADの特性を理解して設定していけば、より効率よく作業ができることでしょう。
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